貴子潤一郎 「12月のベロニカ」ASIN:482911486X

きむち経由でN氏に薦められて読む。
富士見ファンタジアなわけやが、一読した限り、中世を舞台にした推理小説といった趣き。しかしこれ、文体は微妙に拙いし、トリックは凡庸やし、友情と愛情に関しては結局有耶無耶になっとるし、使い古されたネタが多過ぎる気がしないでもない。しかし、それらを上手く構成した構成力はあると思う。ただ、最後の最後がグダグダで読む気が失せたりしたが、あれでは物語としてはちゃんと落ちとるけど、テーマとしては逃げに走ったとしか思えないあたり、かなり減点。
つまり、物語としては中々やと思うんやが、結局作者の中で意見が固まっていたかったためにテーマが中途半端になってしまった、読んでもあんまり感銘を受けるようなタイプの小説ではない、というのが結論かな。