安部公房 「箱男」

昼寝後に読了。なんというか、夢野久作を思い出した。登場人物が曖昧で不安定、くるくると目紛しく変わっていく状況…。他の安部公房作品も2、3読んだが、スタンスはともかくとして造りがそれとは違っている気がする。ただ、夢野久作と決定的に違うのは、結局のところ人間を描き出そうとしているところか。
それはともかくとして、そこそこ面白かった。が、正直今一つ理解できん。結局何が言いたいんやろう?
箱を被って歩いてる人を見たりした日には、間違いなく興味を抱いてしまう気がするし、従って作品世界の人間は現実世界の人間とは相容れない部分があるということで、リアリティに関して言えば疑問を抱かざるを得ない。それをカバー(洗脳)する為の"箱の製法"なんやろうが…。とにかく、その時点で登場人物の人間味に疑問を抱いてしまうわけで、そこから描き出された人間像を見せられても、そこに意味はあるのか?と。そもそもの前提が疑問であるという話。
結局のところ、言葉遊びであるような予感もする。こんな気持ちになるんは、俺が現代人的に他人への興味が希薄やから、とかやろうか?